第21章 Shopping
天気の良い休日。
少し出掛けよう、とシャンクスが車を走らせた先は某百貨店。
迷いなく紳士服のフロアに行くと、向かったコーナーには彼愛用のブランド。サイズを伝えてシャツを見繕う隣で、ショーケースの小物を眺める。
「何か気になるか?」
「ううん。見てるだけ」
キラキラとしたスーツアクセサリーを、洒落てるなぁ、と眺める。
「お待たせいたしました」
店員が出してきたシャツのサイズとデザインを確認する。
「ショーケースのもの、少し見せてもらえるか」
「かしこまりました」
鍵を開けたケースからシャンクスが指したのは、黒の石がついたスタッズ。
「オニキスを使用した、ドレススタッズになります」
ドレススタッズ?と見上げると、タキシード用のドレスシャツに使うものだと教えてくれた。
「シャン、いつもスーツじゃない。タキシードなんて着る?」
「たまにな。夜会の時はタキシードがドレスコードだぞ」
円のシルバーの中に六角のオニキスを嵌めたスタッズ。
箱に収められたそれを揺らして輝きを確認すると、うん、と頷いて店員に差し出す。
「こっちのタイバーと一緒に包んでくれ。それと、追加で白のドレスシャツを一枚」
「かしこまりました。お包みいたします」
笑顔で受け取った店員が梱包してくれるのを待つ。
「タイピンもカフスも、持ってなかった?」
クローゼットで見た気がするけど、とソファにかけて隣に立つ彼を見上げる。
「持ってはいるが、シルバーと赤い石のものだからな。黒は持ってない」
そんなに頻繁に使う?と聞くと、いや、と言って少し笑う。
「ジウの瞳の色に似ていて、惹かれた。まっ!衝動買いだな」
ニッと笑う顔に、なにそれ、と笑った。
「いくらだった?」
「さあ。見てなかったな」
恐ろしい買い物の仕方だ、と苦笑いをするジウ。
「ジウは、なにか欲しい物、ないのか?」
「うん、今は特に」
思いつかないな、と商品を眺める。
「あっ!」
「っなに?」
忘れてた、と手を打つシャンクス。
「ジウに靴を買ってやろうと思ってたんだ」
「え?靴?」
なんで?と問う。
「だいぶ前に、一足駄目にしちまっただろう」
首を傾げると、忘れたか?と腕を組む。
「既婚者と不審者に間違えられた日」
「...あっ。その節はすいませんでした」
全くだ、とツンツンするシャンクス。
