第20章 渡したくないっ!
「あれ?」
ポケットを漁るジウが首を傾げる。
「んッ!そっち側やめろっ」
ごそごそする手にピクッと腰を引くと、おかしいな、と手を引く。
こっちのポケットに入れていたはず、と首を傾げるジウ。
「ねぇ、出しなさいよ」
「新しいもの録らせてくれるならいいぞ」
「『うん』と言うと思ってるの?」
ペタペタと身体検査をするジウ。
見つからないレコーダーに、おかしいなぁ?と首を傾げて、不満げにもういいわ、と言って背向けた。
「消したの確認するまでえっちしない」
「はぁっ?!」
なんでっ、と今度はシャンクスがジウを追う。
「それがあるならいいじゃない。『有能な実用品』なんでしょ?」
便利じゃない、とソファにかけるジウ。
「それとこれは話が違うだろっ!レコーダーのはっあくまで緊急時用でっ」
焦るシャンクスに、緊急時ってなに?と問いかける。
「予定が合わなくて会えなかった時とか、出張で2、3日ジウと離れなきゃならない時とか、ジウの体調が優れない時とか」
あとは、と『緊急時』を具体的に上げていく。
「会議の前日でジウが酷く緊張してる時とか、決算期が来てピリピリしてる時とか、予算関係で指摘受けて悩んでる時とか」
相変わらず、あっけらかんとしているようでジウ自身やジウの周りのことをきちんと見ているシャンクスに感心する。
「ローやサナから話を聞いてやってる時とか...そういえば、最近はマキノさんやウタとも連絡取ってるらしいな」
突然、話の方向が変わり、背けていた顔を上げる。
「ありがとな。二人のこと」
「...ウタちゃんやマキノちゃんと話すのは、好きよ。楽しいもの」
「そうか」
ニッといつもの笑顔を見せるシャンクス。
「絆されないんだからっ」
「あっこら!」
ヒップポケットを探るジウの手を掴んだ。
「離せっ!寄越せー!この変態っ!むっつり!スケベ野郎!」
「ジウのそういう言葉遣い、なんかドキッとするな」
「知るかっ!」
はいはい、と抱きすくめて興奮している背中を撫でる。
「落ち着け、落ち着け。どうどう」
「〜っもう!」
きらい、と胸に額を擦り付けていじけるジウ。
「きらいって言うな。苦しくなる」
ギュッと強く腰におろした腕で抱きしめた。