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依々恋々 -Another story-

第19章 Dress Up Ladie



鏡に向き合ってメイクを確認するジウを横目に見る。

「よし」
パチン、とコンパクトを閉じて小さなバッグにしまう。

「なぁ」
「ん?」
ピアスの位置を整えるジウと鏡の中で目が合う。

「もう少し丈が長いもの無かったのか?」
え?と振り返るジウのストッキングを履いた脚を睨む。
微かに素肌が見える膝下。
せめてもう少し厚みのあるものを履くか、丈の長いドレスに変えてほしい、と睨み下げる。

「ええ?これ以上厚手だともうタイツだよ。流石に暑いって」
ラインストーンの付いた足首を持ち上げるジウ。
ラメの入ったツイードのワンピースは膝が見える丈で、緩く巻いた髪を左側に流している。
「たかが同窓会にそこまで着飾らなくても」
「え?そんなに気合入ってるように見える?」
気合入ってるっつうか、といつもより少しだけ華やかな化粧のジウを見つめる。
「かわいいけど」
「ありがとう」
ふふ、と嬉しそうに笑う顔に悶える。

「っ小学校からやり直して女子校に行ってくれっ」
「何言ってんの?」
携帯の充電を確認してバッグにしまう。
「担任だった先生の定年のお祝いのための同窓会だし、2〜3時間で終わると思うよ?」
男の子たちは二次会するのかな?と荷物を確認しているジウを背後から抱きしめる。

「終わったら連絡しろ」「わかった」
ポン、と首下の腕を撫でる手。
「迎えに行くまで、会場から出るなよ」
わかった、と笑うジウ。
「男に連絡先教えるな」
「はいはい」
心配症ね、と困って笑う顔にむっとする。
「やっぱり行くな」
「あなた、今日言ってることむちゃくちゃ」
ふふっ、と笑う唇にキスをする。

「リップ、取れちゃう」
濡れて艶めかしさを増した唇をひと撫でし、間に合わないだろ、と片手にバッグを、片手にジウの手を引いて車に向かった。

 ✜

「近くにいる。終わったら」
トン、とダッシュボードのディープブルーの携帯を指で叩く。
わかった、と頷いてシートベルト外すジウ。
「送ってくれて、ありがとう」「ん、っ!」
ちゅ、と一瞬頬に触れた濡れた感触。
ひらりと助手席から降り、行ってきます、と手を振ってドアを閉めた。

片方に流した髪を耳にかけて歩き出した姿に、ゴン、と額をハンドルにぶつけた。
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