第14章 I'm so happy
君を抱き寄せて 夢の続きを見よう
急に浮上した意識で、目を開けた。
明かりを消した部屋は、暗く、窓から光は入っていないが、かすかに雨音がする。
夢を見ていた。雨が降り出した夕暮れにジウを迎えに行く夢。
きっと、あと数分でジウの携帯がアラームを鳴らす。
たまに出くわす、ふと早く目が覚めた時だけに得られるたった数分の、この流れ星のような時間が好きだった。
奇跡や運命やらを感じる質ではなかったけれど、ジウと出会ってからは身近に感じるようになった。
今でもたまに、夢を見ているだけじゃないかと思うときがある。
ちょっとしたすれ違いを起こしたり、嫉妬を押し付けたりしても、最後に残るのは、最大に大きく感じていた「好きだ」という気持ちがまた大きくなるだけ。
笑っても泣いても、最後には好きだとキスをしたくなる。
「ん」
腕の中のジウを抱き寄せ、まだもう少し、と目を閉じる。布団の中の手に触れると、きゅっと握ってくれて寝起きの頭がふわふわとする。
「、シャン、クス」
少し微笑んだ寝顔。
夢の中で、自分がその笑顔を作っていると思うと震えるほど喜びを感じる。
力が抜けた手に指を絡めて握る事が、やけに嬉しく感じる。
少し頬にかかる髪がくすぐったいのか、しかめっ面なのに綺麗に見えて、ジウを抱き寄せた。
「好きだ」
しん、と静かな部屋に溢れた言葉に少し照れて、もう一度、ジウにだけ聞こえるように囁く。
すると、微笑んだ顔で手を握るジウ。
間近に見下ろすその顔がただキレイに見えて、眠気も忘れて、何度もキスをした。
by Janne Da Arc 「I'm so Happy」