第42章 Valentine
「なるほど。それは、断れないわね」
クスクスと笑うジウ。
「じいさんの手前もあるし」
「キスまでされちゃね」
「こっちが申し訳なくなるわ、気まずいわ」
お疲れ様でした、と思わぬ贈り物を受け取ったシャンクスを労う。
「じゃあ、今年はそれでいい?」
「いや、くれよ?」
だから要らないわけないだろ、と顔を顰める。
「シャンって、チョコ、好き?」
「ああ、子どもの時たまに船長やレイさんが気まぐれに菓子をくれる事があって、チョコレートが一番好きだった」
「温かいチョコレート、平気?」
「溶けたチョコレートか?」
「そう。フォンデュとか」
まさかあの滝のようなあれをやろうというのか?と言うシャンクス。
「まさか」
「別に、チョコレートはどんな形態でも食べるし、ジウがくれるならどんなやつでも食う」
そう、と言ってふふ、と笑った。
「だからえっちなんだ」
「はぁ?」
なぜそうなる?と首を傾げる。
「チョコレートって、催淫効果があるとか言うじゃない?」
「俺は、聞いたこと無いな」
そう?と言って笑うジウ。
「お酒もたくさん飲むし、チョコレートと相まってそれでえっちなのかと」
「ふはっ!それで性欲が刺激されてるって?」
んなアホな、とジウの手を握り込む。
「原材料のカカオにはポリフェノールやプロテインが含まれているが、それらに催淫効果は無いだろ」
ワイン好きやプロテインを多く摂取する傾向にあるスポーツプレーヤーたちはどうなる?と笑い飛ばした。
「どっかでそんな話を来た気がしたのよ。
だから、えっちなこと、好きなのかな、と」
「そうかぁ?」
プロテインだって摂取してるでしょ?と言うジウに、そんなに性欲が強い方だろうか?と首を傾げる。
「レイリーさんやベックはどうなるんだよ。
あの歳でまだ『現役』だぞ?」
「あ〜、まあ、それはそれとして」
あの2人を比較に出しちゃうのはさ、と多少苦笑い気味のジウに、どういう意味だ、と笑い飛ばした。
✜