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依々恋々 -Another story-

第41章 Call on



Pululululu Pululululu

株式会社RedForce本社 総務部フロアに鳴り響いた呼び出し音。

複合機でコピーを取っていたアメリが、駆け足に執務席の電話を取ろうとした時だった。

「待たせ、ました」

声の方へ視線を向けると、自分とあと唯一執務室にいたシャンクスが受話器を右手に取っていた。

社長自らに取らせてしまった、と取りかけた電話機が使用中だと教えるランプは白。

(え?)

「申し訳ございません、技術部のヤソップは...ただいま会議に入っておりまして...」

受話器片手にパソコンを操作しながら対応するシャンクス。

(ま、さか...)
「でしたら、戻り次第折り返すよう伝えます。
 はい...総務部フィガーランドが承りました。
 失礼します」

右手で電話機のフィックスイッチを押して受話器を置いた。

「しゃ、ちょう?」
「うん?」
パソコンに向き合い、カタカタとキーボードで打ち込みをするシャンクス。

「今、の、内線でし、た?」
「いや?外線だったな」
画面にさっと目を通すと、うん、と頷いてエンターキーを押す。

(社長に外線、初手受けさせちゃったー!)

「申し訳ありませんっ!」
ガバッ!と頭を下げたアメリに、シャンクスはきょとんとした。

「あのっ、電話、私が取らなくてっその」
「ああ、そんなに謝らんでも」

カラッと笑うと、カップの中で冷めてしまっているコーヒーを飲み干す。

「ちょうど人が出払ってるからな。
 アメリにコピーを頼んだのは俺だし」
気にすることない、と笑う顔に、ありがとうございました、と書類を差し出す。

「ご依頼の書類のコピーです」
「うむ、ご苦労」
ニッ、と笑って受け取ったシャンクス。

「お詫びにコーヒー、淹れ直してきます」
「おっ、ありがとうな。
 アメリが選んだあの豆、良いな。うまい」
「御口に合うようでしたら、幸いです」

淹れ直してきます、と振り返った時だった。

「っわあっ!」
キャビネットの影から覗く顔にビクッ!と跳ね上がる。

「『でしたら、戻り次第折り返すよう伝えます』」
先ほどのシャンクスの言葉を繰り返したのはヤソップ。
「『総務部フィガーランドが承りました』なんて、初めて聞いたぞ」
そう言いながら、ニヤニヤしているのはベックマン。

誂われたシャンクスは、いじけた目で彼らを見た。

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