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依々恋々 -Another story-

第39章 Stepper



(オマケ)

ピンポーン、と鳴った呼び鈴。
モニターの配達員は、会社宛てでそちらに届けたらこちらに届けるように言われたとのこと。

伝票にサインをして荷物を受け取った。

差出人は傘下の会社。

クール便のそれをダイニングテーブルで開く。
男一人が抱える大きめの段ボールの中には、保冷剤と精肉。それに肉加工品。

毎年この時期に送られてくるそれらに、運送技術が発展し、通販産業が盛んな昨今、多忙な配達業者がより多忙を極める時期になったな、と気付く。


玄関施錠が開けられたインターホンの音。
「ただいま」
おかえり、と勤務服で帰宅したジウを迎える。
「なに?それ」
「傘下の会社で、肉の加工業をしているところがあってな。
たまにこうして送ってくる」
箱に詰められた肉類に、ジウがわあ!と声を上げた。

「焼肉かしゃぶしゃぶか鍋か」
焼肉用のセットにしゃぶしゃぶ用の豚肉の薄切り、唐揚げ用や一口大に切られた鶏肉など詰められている。
早速夕飯の食材にしよう、とジウと共に数種類の肉から選ぶ。

「あ、水菜とネギとキノコがあるから、水炊きにしようか」
最近冷えてきたし、と鶏のぶつ切りを手に取るジウ。
「いいな。あ、貰い物の地酒があったな」
「ほどほどにねぇ」
早速支度に入るジウ。

 ✜

「さてと」
えっと、とキッチンの上の吊り下げ収納を見上げるジウ。
先日のステッパーを持ち出す。
電気鍋のコンロを出すと、おちょこ片手にキッチンに入ってくるシャンクスに気付いた。

「シャン、受け取ってくれる?」
「ん?ああ」
酒器をキッチンに置き、コンロを手渡す。
それを受け取り、その場に立ち止まるシャンクス。

「シャン?」
「んー?」
ステッパーの手摺を掴み、少し、身を乗り出すとシャンクスの顔に自身の顔を寄せた。

 ちゅ

「うん」
「ふふ」

満足そうに頷いたシャンクス。
ダイニングテーブルにコンロを運ぶ後ろ姿は嬉しそうで、自分からキスできるのもいいな、とステッパーを撫でた。


  これからもよろしくね


                   end
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