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依々恋々 -Another story-

第39章 Stepper



 ✜

昼の連絡は一体何だったのか?

突然、突拍子もなく靴のサイズを聞いていたシャンクスは、それから何か話を広げるでもなく、夕方過ぎに-いつものところで待ってる-と妙に嬉しそうな愛用のライオンを添えたメッセージを送ってきた。

「お先に失礼します」
遅番の職員に挨拶し、いつもの駐車場に向かう。
一番奥にいつもの赤の車の運転手に人影は無かった。
煙草でも吸いに出たかな?と踵を返す。

「っひゃあ!」
おっと、と後頭部に当てられた手。
「びっくりしたぁ!」
「悪い悪い」
後頭部を車体に打ち付けかけたジウを、大丈夫か?と覗き込むシャンクス。

「ねえ、お昼の連絡、なんだったの?」
車に乗り込み、シートベルトをかけながら問うてくるジウに、あー、と思い出す。
「いや、あれはもういいんだ」
「なにそれ?」
不審そうにするジウに、気にすんな、と笑って車を出す。

「気にするな、と言われると気になる...」
むう、として言うジウにケタケタ笑うシャンクス。

「18cmほどのヒールを買ってやろうかと思ったんだが、やめた」
「18cmのヒール...って、こんなよっ!?」
両手の人差し指で20cm 弱の幅を作って見せるジウ。

「だからやめたんだ。危なっかしいだろう」
「なかなか無いよ。
 ていうか、なんで突然、18cmのヒール?」
「キス、してもらいやすくなるかなぁ?なんてな」

素直に白状したシャンクスに、キス?と首を傾げる。

「『首筋さえ見上げるのに』って、前に言ってたろ?」
そうだっけ?と思いだそうとするジウ。

「ヒールを高くして、差を埋めればキスしてくれる確率が上がるかと」
少し笑った横顔。


「シャンってさ」
なんだ?といつものように手を握る。

「たまにすっごい可愛いことするよね」
「っうるせぇな!」
少し顔を赤らめて言い返すシャンクスの横顔にニヤける。

「キスして欲しさにあれこれ考えてたんでしょ?
 可愛すぎるでしょ。30歳男子」
「うるさいぞっ」
コン、と軽く頭をぶつけられ、クスクスと笑う。

信号にブレーキを踏み込む。
「でもね」
車体が完全に止まると、ちう、と頬に柔らかな感触。
「座ってたら、そんなに遠くないね」

微笑むジウに、あれこれと悩んでいた自分が馬鹿らしくなった。
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