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依々恋々 -Another story-

第38章 だいすき、しか言えなくなるまで...


T.O.Gメインロビーの脇にある喫茶室。
ジウは、そっと向かいを伺った。

染めているのか。
青みがかった銀の髪を長く伸ばした彼女は、はあ、と溜息をついた。
落ち着かないジウの心境を汲み取ったか。
隣で煙草を蒸すシャンクスが肩を抱き寄せて髪を撫でる。

いらっしゃいませー、と言う声に目線を上げたシャンクスが、軽く手を上げる。

「なんだ、わざわざこんなところに呼び出して」
「っベック!」

座席から立ち上がって振り返った彼女に、ベックマンは、お前さん、と咥えていた煙草を手に持った。

座れよ、と言われて空いているシャンクスの向かいに腰掛けたベックマンの手を取った彼女の視界からは、すでにシャンクスとジウの存在は打ち消されていた。


半分吸った煙草を灰皿に押し付けたシャンクスは、お前なぁ、と呆れた声を出した。
「ジウと勘違いされるようなことしたんだろ?」
「さして、心当たりがねぇなぁ」
うーん、と煙草を一口吸ったベックマン。
「ジウ、なにか心当たり、あるか?」
ベックマンへの問いかけとは打って変わって、優しい声色のシャンクスに、えっと、とジウは唇を撫でた。

「だって、二人でお買い物してたから...」
拗ねたような顔で言った彼女。

買い物、と言う3人。
あ!とジウが声を上げた。

「もしかして、この前のスーパー?」
こくん、と頷いた彼女。

「詳細は?」
不機嫌を隠しもせず問うシャンクスに、ジウが説明した。
「ほら、あなたがベックマンさんと『二人になるな』って言った日の買い物のこと...」
ああ、と言ったシャンクスは、忠告か遅かったか、と頭を掻いた。

「だって!あの時間に二人で食材や日用品を買ってスーパーからでてきたら、同棲してるって思うわ!」
吠えた彼女に、シャンクスが言い返した。

「相手をちゃんと調べとけっ!
 ジウはベックの女じゃねぇ!俺の女だ」
見開いた目で瞬くベックマン。

「シャン、ちょっと声大きい...」

辺りを見て慌てるジウの手を握り、誤解を生むようなことをするなっとシャンクスは、ベックマンを睨んだ。

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