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依々恋々 -Another story-

第38章 だいすき、しか言えなくなるまで...



数日後。。。

T.O.Gへと向かう途中、交差点で信号待ちをしていた。

(そうだ、シャンに連絡)

もうすぐ着く、とメッセージを送ろうと携帯を取り出した。
「あれ?」
画面には、彼から1件の不在着信。
(あ、マナーのままだった)
心配かけたかな、とコールバックする。

-おう。今、どのあたりだ?-
「ごめん。着信気付けなくて。
 ✕✕の交差点だから、すぐに着くよ」
-ん、なら-
「ねえ、」
「え?」
振り返ると、一人の女性が睨みを利かせていた。

(はて?)
どなた?と言いかけた時、電話から声。

-おい、ジウ。どうした?-
「ちょっといいかしら」

鋭い目線に、一歩後ずさる。

「あなた、最近ここによく来てるわよね?」
腕を組む彼女が、目の前のT.O.Gを親指で指差した。
「彼に、会いに来てるのよね?」
ずい、と顔を寄せる彼女に、え?と身を引く。

「あなた、ベックの何番目?」

ん?と首を傾げる。

(ベック...って、ベックマンさんっ?!)

それは彼の仲間の一人の愛称で、他に見当たる人物がいない。

「えっと、何番目というのは...?」
「自分が何番目かも知らないの?
 それとも、知らないってシラを切るつもり?」

知らないものは知らないので切る知らも無いのだが、と困っていると、綺麗にネイルアートが施された指先で頬を掴まれた。

「それとも、可愛いお嬢ちゃんは、彼の本当の姿を知らないのかしら?」

嘲笑うような笑みを見せた彼女。

痛いっ、という声とともに頬を開放されたかと思うと、視界が黒に染まる。
慣れた潮風に似た香りと見上げた先の赤銅の背中に、シャン、と声が漏れた。

「コイツに用があるってんなら、俺を通してくれるか?
 大事な女(ヤツ)なんでね」

離してっ、と手を振り解こうとしている彼女が、キッとシャンクスを見上げた。
一瞬、ハッとした顔を見せて、ふん、と笑った。

「あなたも騙されてんのよっ!
 こんな大人しそうな顔しといて、他にも男いるのよ!」

掴まれていない手で指差されたジウは、そんなっ!と首を横に振った。

「『なんにも知りません』みたいな顔して、RedForceの副社長狙うような、強かな女なんだからっ!」

え?目を瞬かせたジウ。
ビクリ、と片眉を釣り上げたシャンクスは、そっと掴んだ手を離した。

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