第37章 FRIENDS
「っ待て!落ち着けっ
泥棒じゃないっ」
振り回される棒を左手で掴み、ジウを抱きしめる。
「命乞いなんかするなっ!
正直に白状しろっ」
一瞬、光った棒は、まじまじと見ると素潜り漁に使う突き銛で、ギョッとして距離を取る。
「貝殻を探しに来ただけだ!
海産物は狙ってないっ」
「貝殻だぁ?」
「ヒオウギ貝の貝殻が欲しいだけだっ」
可食部分は求めていない様子に、男は銛を持つ手を緩めた。
怯えているジウの肩を抱き、大丈夫、と髪を撫でて落ち着かせているシャンクスに首を傾げた。
「赤いヒオウギ貝の貝殻を探していただけだ」
「なんでそんなもん」
金目の物目当てではないとわかったのか、男は銛を肩にかける。
野暮用だよ、と濁したシャンクスは、少し落ち着いてきた様子のジウの手を取り、濡れていない休憩用の椅子に座らせた。
✜
事情を聞いた男は、なんだ、と嘆息した。
「最近、この辺りで海産物の窃盗が多くてね」
「そうか。紛らわしいことをした。すまん」
「いいや。せっかくのデートを邪魔して悪かったよ」
お嬢さんも、とジウに向き直ると、よいせ、と作業台に籠いっぱいの貝殻を出した。
「好きに持っていきな。
最近の若い子は物好きだね、こんな産廃で」
俺は理解できない、と男は煙草を吸い出した。
「たまにいるよ。
なんだ?『エモい』?とか言って海の写真を撮っていくだけの若い子や、なんとかツーリズムとか言って軽装で山に入って行くのが」
何が楽しいんだか、と漁具の手入れを始める。
「俺たちにとっちゃ、明日食えるかどうかの戰場だってのに」
手元の貝殻をギュッ、と掴むジウの手を撫でた。
「漁場の変化はあったかい?」
「そうだなぁ、量も減ったし、潮の流れも変わった。
オヤジたちの世代が狙っていたブリやヒラメは減って、カツオやサバ、ああ、ちょっと前には、シイラがかかったね」
「網にか?」
「そうだよ」
そうか、と言ったシャンクスに、ジウはよくないことでもあるんだろう、と穏やかな海を見た。
「シャーンクスー!」
そこに大きな声が響く。
起きたルフィが、ウタの手を引いて走ってくる姿にシャンクスが手を振る。
「シャンクス?え?お前、シャンクス?」
ああ、と頷いたシャンクスに、なんだ!と漁師の彼は笑った。
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