第37章 FRIENDS
「ごめんなさい」
「ウタ?」
うう、と身を小さくするウタ。
「ごめんなさぁい」
ポタポタ、と涙が落ちた膝を抱え込み、ジウの胸に顔を埋めるウタの髪を撫でるシャンクス。
「ウタ」
「ごべんなざぁい」
うえぇ、と泣き出したウタを抱き締めたのはルフィだった。
「大丈夫、大丈夫だ」
「るぅふぃい」
「俺もシャンクスもいるからな。今はマキノはいねぇけど、ジウがいるぞ。ハウス帰ったら、じぃちゃんもダクソンもジラッシュもスリムもいるぞ。ブライオンだってカーペンニャーだっている。ゴードンのおっさんも。また歌えるからな」
泣きつくウタを抱きしめながら、大丈夫、と繰り返すルフィ。
静かにそれを見守っていたシャンクスに、ジウの微かな声が聞こえた。
「私も、そうだった」
少しずつ嗚咽が治まりつつあるウタをルフィに任せ、ジウを見つめる。
「車に酔いやすくて、たまに遠出をしてもすぐに体調を崩して両親を困らせてた」
「ジウ、」
「申し訳なくて、『なんで、今?』って自分に怒ってた」
おんなじ、とウタを見つめるジウを抱き寄せる。
「大丈夫だ」
ルフィと同じ言葉を繰り返すシャンクス。
「ジウは、もうひとりじゃない。俺がいる」
落ち着いたか?と俯くウタを覗き込むルフィ。
「ウタにはルフィがいる。心配ない」
ごめんね、と鼻を啜って謝るウタに、謝ることないぞ、と笑うルフィ。
「似てる、なんて思ったら、ウタちゃんに失礼ね」
深く呼吸をして空を仰ぐジウを見るシャンクスが目を細める。
(ウタがジウに早く懐いた理由はそれか...?)
ウタのことは、娘だと思っている。
直接育てた期間は疾うの昔で短い間だったが、離れて暮らす今でも娘であることには変わりない。
色々と難しい年頃になったのは理解している。
最近、体調も精神面も特に不安定で、眠れていないようだ、とマキノから連絡をもらっていつも以上に気にかけていた。
なかなか会いに行けない自分に、なんでこないんだ、と喚き散らすようになっていた。
発表会の前にも連絡があり、絶対に来るように言いつけられていたのにすっぽかしてしまい、また「怪獣」になると思ったのに、比較的穏やかに済んだのは、ジウがいてくれたからだと身に沁みて覚えている。