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依々恋々 -Another story-

第37章 FRIENDS


車内には、ウタがセレクトした音楽が流れている。
時折、ウタの歌声が重なる。

「車停めてほしかったら、早めに言えよ」
強い日差しに運転席でサングラスを掛けたシャンクスが、ルームミラーで後部を確認する。
はーい!とジウの隣でタブレットを操作するウタ。
「ウタ、歌詞見るな。酔うぞ」
「だいじょーぶ!」
「気持ち悪くなっても知らんぞ」
「ウタちゃん、ほどほどにね」
うん!と軽やかに口遊ぶ。
ルフィもたまに音を外しながら歌う。

 ✜

車内には、相変わらず軽やかな音楽が流れている。
タブレットを膝に置き、外を見ていたウタが、ギュッと一度、目を強く閉じた。

「ウタちゃん?」
「...なに?」
少しテンポをおいて返したウタ。
こちらを向いた顔色に、ウタのシートベルトを外す。
「ちょっと横になる?膝貸そうか?」
「...うん」
タブレットをジウに預け、くったりと横になる。

「おい、大丈夫か?」
ルームミラーから様子を伺うシャンクス。

「ちょっと気分悪くなっちゃったみたい」
ウタの背中を擦ってやりながら、前方を伺う。
「停まれるところ、ある?」
「SAまで15km、10分程度。とりあえず入るぞ」
「お願い」
唇を噛むウタに、大丈夫か?とルフィが振り返る。
「ウタ、落ち着いたら前、乗れよ。前の方が酔いづらいんだろ?」
なあ、と見上げるルフィの髪をわしゃわしゃと撫でるシャンクス。

「ありがとう、ルフィ君」
「ウタ、少し落ち着いてきたら飴、舐めとけ。少しはマシになる」
ポケットから取り出した個包装の飴を差し出すシャンクス。
ウタは、代わりに受け取ったジウに、停まってから舐める、と目を閉じた。

 ✜

SAのベンチでウタに付き添って座るジウ。
「経口補水液でも買っとくか?」
向かいに屈み込み、吐いていいからな、とビニール袋を持つウタに声を掛けるシャンクス。

「飲めない...」
真っ青な顔で首を横に振るウタは、気持ち悪い、と蹲ってしまう。

「ちょっと疲れちゃったかな?」
「ずっとテンション高かったからなぁ」
いつもうるさいルフィは、ウタの隣で大人しく座っている。

「昔からそうなんだ。気分が昂ぶりすぎても、落ち込みすぎても体調崩しやすい」
もう少し余裕ある予定にしてやっとくべきだった、とシャンクスは僅かに目を伏せた。
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