第3章 ※レイン・エイムズと奇妙な呪い
「それと解決法だが……。術者を特定しない限りは魔法自体を解除するのは難しいだろう。欲が肥大化している状態なら、それを発散させる以外には今は方法がない」
「え、つまり?」
「おい、オレにデリカシーのないことを言わせるな」
ランスくんは眉をぴくりとさせる。
う、やっぱりそういうことですよね……。
「いくら苦手って言ったってあの人は恋人だから別なんだろ。それともあの人でもだめなのか」
「いやダメっていうか……」
そもそも実際は恋人ではないので、私にとって良いか悪いか以前の問題である。
でも言われてみれば、今まで彼に触られても緊張しただけで嫌悪感を抱いたことは特になかった気がする。魔法道具の影響とはいえ少し前におかしな夢も見てしまったし……。
まあだからと言ってじゃあお願いしますとはいくらなんでもならないが。
「どちらにしろお前はその調子で学園長に会うべきじゃない。オレが伝えておくから今日はすぐに帰って休め」
「ありがとうランスくん」
ひとまず私はその言葉に甘えて部屋に戻ることにした。
火照る体はどうしようもないが、ご飯を食べまくって食欲を発散させるとか色々試してみよう……。
しかし不運な時とは何か一つ問題が起きればなぜかどんどん重なっていくもの。
その日の晩レインから提案されたのは恐ろしくタイミングの悪い話だった。
「今週末は休めそうだ。誘っておいて待たせてしまってすまない」
「えっ!? あ、ああいやいいんです。私も忙しかったですし」
思わず今かい! と言いたくなるのを堪えて私は笑顔で頷く。レインとデートができるのは純粋に嬉しい。が今出かけるのはあまりにリスクがありすぎる。
「行きたいところはあるか」
「え、えとそうですね……。なるべく人がいないところ……?」
「ああ。前回は人が多い場所だったからな」
そういうことではないのだが、そういうことにしておく。
「なら海の方にでも行こう」
「いいですね! 楽しみです」
その気持ちに嘘はなかったが。それ以上に不安の方が大きすぎる。
海ということはもしかして水着とか着るんだろうか。
もしそうだったらおそらく正気ではいられない……。ほんと、どうしよう。