第2章 レイン・エイムズと初デート
「思えば入寮して来た時も新婚がどうとか言っていたが……あまり軽率にそういうことを言うな」
一瞬2メートルくらいまで距離が縮まったものの、レインが再び歩き出したのでまた離れてしまった。
「はい、おっしゃる通りですねすみません……」
「……だが、元を辿れば俺のせいでもある。最初の時点で部屋を離すべきだった。申し訳ない」
「?」
どうしよう文脈が見えない。なんとなく会話が噛み合っていない気がする。
「やはり、ジジイに言って部屋を変えてもらおう」
「え、な、なんで急にそうなるんですか!?」
私、そこまで嫌われてしまったの!?
しかしそこまではっきりと拒絶を示している割にはやはり好感度が安定しない。
「ランスは優秀だ。無理に俺が守らなくてもお前は大丈夫だろう」
「そこでなぜランスくんが出てくるんですか? この件にはなんの関与もしていないですよね?」
しかし思えばさっきからランスくんの話ばかりしているような……。
「お前は、ランスと付き合っているんだろう」
「はぁ!?」
「……」
二人の間を嫌な風が流れる。
馬鹿みたいな声を出してしまった私、真顔で固まったレイン先輩。
あれ、前にもこんなことがあったな……。
「……あの、レイン先輩」
私は恐る恐る挙手しながら発言する。
「私たちは、もう少し言語でコミュニケーションをとったほうがいいかもしれません」
「…………そうだな」
私は一歩ずつレインの方へ近づく。
さすがにレイン先輩もそれ以上逃げなかった。
「一体何をどう勘違いしたらランスくんと付き合うことになるんですか……。先輩も見たでしょ、あの脅威的シスコンぶり」
「家族愛と恋愛は別じゃないのか」
「そうですけど」
でもあの様子のランスくんに今他の女性にうつつを抜かしている余裕があるようにはとても思えない。
「はぁ……びっくりして損しました。これからは自分で結論に至る前にちゃんと言葉で話しましょうね……」
「……そうだな。俺はどうも必要な言葉を端折りすぎるらしい」
改めて色々悪かった、とレインは頭を下げる。
「いえ! いいんです。私もステータスを見て勝手に納得しがちなところありますしお互い様ということにしましょう」
と、そうだステータス。
私は改めてレインのステータスを開いた。
「え」