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【マッシュル】となりの剣使い

第2章 レイン・エイムズと初デート


そう考えると突然ランスくんと帰寮させようとしたり、私を残すのを妙に躊躇っていた理由に納得がいってしまう。

「……」

正直、ショックだ。

とはいえ全面的に自分に非がある状況で何か言えるわけもない。魔法道具を前にあまりに軽率な振る舞いだった。
その上この人は魔法道具管理局の局長なのだ。呆れられて仕方がない。

今度こそ同じ部屋で寝泊まりすることができなくなってしまうかな……。

「……………………って、そうだ」

一瞬ブルーになりかけたが、冷静に考えたら私には魔法があるんだった。本当に嫌われていたら好感度が爆下がりしているはず。

その数値を見るのは正直怖い気持ちもあったが、見ればわかるものをうだうだ考えて杞憂することほど無駄なこともないだろう。
私は小声で「アナリシス」と呟いてレインの方を見た。3メートル離れていてよかった。さすがに0距離だったら魔法を使ったのがバレる。

「って、あれ?」

レインのステータスに表示されている私への好感度は、「?%」に変わっていた。

経験上、「?%」と表示されるときは大抵、短時間で情報が更新されすぎて数値が確定していない状態である。
その昔、一日勉強して知識を詰め込んだ帰りに意地悪な友達に嘘を吹き込まれ、正しい情報と間違った情報が同時に入りまくった結果一時的に『学力:?%』になった友達がいた。

つまり今レイン先輩は私を好きになったり嫌いになったりとごちゃごちゃになっている……ということ?

今日起きたことを思えば混乱するのは無理もない。がしかし、これでは結局どう思われているのかわからないままだ。

「……」

レインはやはり、特に何も言わず3メートルの距離を保ち続けている。そして相変わらず少しの動揺も見せない表情からは何も読み取れることがない。
もともと口数の少ない人だが、それにしたって無言すぎる。

私はレインの3メートル後ろを歩きながらなんとなく空を見上げた。
今夜は雲ひとつない綺麗な夜空で、星々の煌めきがはっきりと見える。
こんなに離れていなければ「デートみたい」なんて考えてもっと彼のことを意識してしまっていたかもしれない。

すると唐突にレインが立ち止まった。

「……デートではない」

しまった、声に出ていた。
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