第2章 レイン・エイムズと初デート
今日は素晴らしい収穫があった。
オレはスイーツ簡単作成機とかいう魔法道具を前に盛り上がるマッシュたちを横目に、にもらったテディベアを丁寧にラッピングする。
これなら妹が喜んでくれるに違いない。
高揚感に顔が熱くなるのを感じる。
すると階段から足音がして、そちらをみればレインが降りて来るところだった。
この店は一階が店、二階が住居という形になっているらしく、の部屋は二階にある。レインが一人で降りて来たところを見るに、おそらくあいつはまだ部屋で寝ているようだ。
レインはオレの様子を見るなり一瞬眉をぴくりとさせた。
「……ランス、悪かった」
そしてこちらへ歩いて来たかと思えば唐突に謝ってくる。
「何の話ですか?」
「いや……そうだよな、ここでは話しづらいだろう。すまない」
「?」
全く話が見えない。
「お前たちがそういう関係だとは知らなかった。俺はあいつに俺の都合を押し付けてしまっていた」
「はぁ……」
全然何の話をしているのか分からないが適当に合わせておくか。
「と話していた時のお前は楽しそうだったな。顔も紅潮していた。……それにあいつも」
「それはそうでしょうね。あいつ、大好きですから」
ぬいぐるみを作るのが。
思えば教室でもよくやっていた気がする。
「……そうか。お前も、そのぬいぐるみをずいぶん大事にするんだな」
「はい、これは素晴らしいですよ。愛を伝える贈り物に相応しい」
ああ、今すぐ妹に会いに行きたい。
その上であいつには礼を言わなくてはな……。
「そうか……」
レインはオレの返答を聞いてからそう呟くなり黙ってしまった。
以前からそうだが、この先輩はあまりに表情から感情が読めなすぎる。一体今のは何の時間だったのか全然分からない。
そうして先輩が沈黙しているうちにオレはラッピングを終えた。
今すぐに妹に渡しに行かないと気が済まない。
時間もいい頃合いだし、そろそろ帰ることになるだろう。