第2章 レイン・エイムズと初デート
「、好きだ。愛してる」
私を後ろから抱き締め、耳元で囁く。レインの荒い息遣いが耳を擽った。
「だめです、こんな……」
「恥ずかしがるな。お前は俺に身を任せていればいい」
「だ、だめですって」
必死に身をよじろうとするも、強い力で抑え込まれており逃げることができない。
「お前の全てを俺にくれ」
「な、何言って……。レイン先輩。ほんと、本当に……」
「だめーッ!!!」
思わずがばっと飛び起きる。
視界に映るのは見慣れた実家の自分の部屋……。
「わ、私としたことがなんという夢を」
とんでもない夢を見てしまった。まだ心臓がバクバクしている気がする。
これもあの魔法道具のせいに違いない。うん。そういうことにしておこう。
……というか、あれ? そう言えば夢ってどこからが夢?
まさかキスのくだりは現実……。
「目が覚めたか」
私が寝起き早々に百面相していると、近くから声がかかる。
思わずそちらへ目をやれば、そこには渦中の人物……ではなく、ランスくんが居た。
「悪かったな、レインさんじゃなくて」
「ああいやそんなつもりじゃないよ! ごめん。というかもしかして看病とかしてくれてた?」
よく見ると私が起き上がった拍子に何やら布が落ちた形跡がある。もしかしたら冷えたタオルをおでこに乗せてくれていたのかもしれない。
「オレじゃなくてレインさんがな。ついさっきまでここに居た。お前の母親と話すとかで交代したんだよ」
「そうだったんだ……なんか本当にごめん」
「気にしなくていい。お前が寝ている間にオレたちは店内を好きに見せてもらったからな。有意義な時間だった」
「そっか」
とりあえずみんなを無駄に待たせたわけじゃなかったようで安心した。
「でも……ありがとう。お礼にぬいぐるみあげるよ。妹さんによかったら贈ってあげて」
「何!? 気が利くな、」
ランスくんはいつになく嬉しそうだ。
私は引き出しを引いて中から魔法道具を取り出す。これは私のお気に入りのぬいぐるみを作る魔法道具だ。
編入初日にレイン先輩にあげたあのうさぎもこれで作ったのだった。