第2章 レイン・エイムズと初デート
相変わらずレインは無表情で照れている様子など一切ない。
よくもまあ恥ずかしげもなくするするとそういう言葉が出てくるな……と思うが意識してないから逆に言えるのだろうか。
「まあ……お話は本当だったのね。こうして見るまでは半信半疑だったけど」
母は驚いたように目を丸くしている。
「あなたのような人が一緒にいてくれるなら安心だわ。この子、2本線だから昔からよく目をつけられるのよ。どうかをよろしくお願いします」
「もちろんです。お嬢さんのことは俺が必ず守りますから」
なんだか本当に結婚の挨拶みたいになっている……。
母もこんなものは嘘だとわかっているだろうになんだこの茶番は。
本当に付き合っているわけでもないのに妙に気恥ずかしくなってきた。
私はなんだか居た堪れなくなって、思わずその辺にあった魔法道具を手に取る。
「ま、魔法道具見ましょうよせっかく来たんだし!」
私は瓶の形をしている魔法道具の蓋を開ける。するともくもくとピンク色の煙が出て来て、たちまち部屋に甘い香りが充満した。
「ちょ、それは……!」
私の行動に気づいた母が慌て出す。
ん? 何かまずいものを起動したかな……。
すると部屋の端の方で商品を見ていたランスくんがぴくりと反応した。かと思うと、唐突に首にかけていたペンダントの中身を見て鼻血を吹き始めた。
「うぉおお妹よ!!!!! 天使すぎる!!!!!!」
そして心臓を抑えてうずくまった。
「……いつも通りですな」
「うん」
別におかしなところはなかったな。
「いやいやそんなことないでしょうって。その魔法道具は『愛』に関する感情を増幅させる香水よ。今すぐ蓋を閉めなさい!」
「ええ、そうなの?!」
母に言われて私は慌てて蓋を閉める。
確かによく見たらレモンちゃんも「ところでマッシュくん、ウェディングドレスはどれがいいですか?」とか言い出している。言われてみれば妙……かなあ? いつも通りじゃない?
「裏面に『少量なら数分で落ち着く』と書いてある。とりあえず換気をしておこう」
瓶を手に取ったレインが、そう言って窓を開けにいく。
そして私は思わずそちらを見てしまった。
「え、レイン先輩……」
が、すっごいカッコよく見える!!!