第2章 レイン・エイムズと初デート
「魔力の出処が分かったら直ぐ知らせる」
「分かりました。もし出処が人間だったらその人のステータスは私が確認しますね」
「ああ、よろしく頼む」
それは分かった、が。
つまり該当人物を見つけるまでこの体勢のままってこと?
レインは私の肩を抱いたまま平然と歩いている。心做しか周囲の視線が痛い。
私の心臓も普通に痛い。
「こっこんなに近くなくてもいいんじゃないですかねえ??」
「ダメだ。敵にバレないように確実に情報伝達をするにはこの距離しかない」
「ええ……」
この人、至って真剣だ……。
でもレイン先輩がそう言うなら多分事実なんだろう。黙って従うしかない。鼓動の音の方は全然黙ってくれないけど。
すると前を歩いていたランスくんがこちらを振り返った。
「ここのアンティークショップ、悪くない。妹にあげるお土産に……お前たちは往来のど真ん中で一体何をしているんだ?」
ランスくんは私たちを見るなり呆れた声を漏らす。そう言いたくなる気持ち、分かります。
またランスくんの言葉にドットくんとレモンちゃんもこちらを見る。
ドットくんは私たちの姿を見るなり地団駄を踏み始めた。
「見せつけて歩いてんのかよコノヤロウ!!」
「ああ、そうだ。見せつけている。俺の恋人だと」
「レイン先輩落ち着いてください確かにそうだけどそうじゃありません!!!!」
火に油を注ぎまくりドットくんを大炎上させているレイン先輩。特に興味無さそうに妹へのお土産を選んでいるランスくん。
どさくさに紛れて自分もマッシュくんと腕を組もうとしているレモンちゃんとさっきからシュークリームにしか目がいってないマッシュくん。
もうカオスである。
いくら賑わっている商店街とはいえ、これだけ騒がしくなってくるとやっぱり目立つ。どこへ行っても落ち着けない人達だ……。
「あのう、もう私の実家に行きません?」
これ以上目立ちたくないし、というか、レイン先輩に肩を抱かれたまま地元を歩くなんて恥ずかしすぎてもう無理だよ。