第1章 レイン・エイムズと同室の女
その後レイン先輩は去って行った。フィンくんと席に着くも、誰も彼もが遠巻きに私を見ており視線が痛い。
特に昨日のあの女生徒が穴が開くんじゃないかってくらい見てくる。怖い。
彼女には気の毒だが先輩も女に付き纏われるのは困ると言っていたし、これでよかったということで……。
「おはようちゃん、フィン君。今日もいい天気ですな」
このきのこ頭くんだけは、周りがどうなろうと全く変わらないようで安心する。
そのあとマッシュくんが箒でワールドレコードを叩き出し騒然としているうちに放課後。
「寮生の健康状態と成績の管理と、それらの報告書をまとめる……ふむ」
寮に戻って仕事についての説明を受けたのち、仕事だと言って飛び去ったレイン先輩を見送る。
一人残された部屋で私は早速仕事に取り掛かろうとしていた。
私の魔法はその人のステータスにおける『数値化』または『言語化』できる情報ならほぼ全てを確認することができる。そのことを伝えたところ私の仕事は寮生の状態の把握、並びに定期的にその報告書を作る係ということで落ち着いた。
とはいえ好感度が見えるなどとレイン先輩には言いづらいので、具体的にそういうものを見てますとは言ってない。レイン先輩が本当はフィンくんのことが超大好きな優しいお兄さんであることは内緒にしておいてあげます。
それから家族構成についても……。私にわかるのはあくまで現在の家族構成だけ、そこに至るまでの詳しい背景はわからない。がエイムズ兄弟が苦労してきたことは想像できる。
これについても彼から何か話してくれるまでは黙っていようと思う。下手な同情なんて煩わしいだけなのだから。
「とにかく私は目の前の仕事をしよう。少しでも先輩の苦労を減らしてあげたいし」
気を取り直して、寮生を確認して回るため私は部屋を出た。
そしてある程度の寮生のステータスを把握し、わかったことがある。
「レイン先輩……モテ過ぎだが!!?!?」