第1章 レイン・エイムズと同室の女
「レイン先輩……」
真剣な表情でこちらを見つめるレインに、気恥ずかしくなり思わず目を逸らしてしまう。
なるほどこれが神覚者に選ばれる人格というもの。月並みな表現だが、やはり格好良い。
「えと……ありがとうございます。それならお言葉に甘えますね」
「ああ、そうしてくれ」
「でも守られるだけはやっぱり嫌ですから、私もレイン先輩を解析でサポートしますよ!」
私は手にぎゅっと力を込め彼の手を握り返す。
「あなたが剣なら私はあなたの鞘になります。先輩が安心して帰ってこれる場所にね」
「鞘……」
レインは少しだけ目を開いて、その後少しだけ笑った。
「大抵の事はいつも一人でこなしていた。帰る場所で待っている人がいるというのは、新鮮な感じだな」
「でしょでしょ。なんか新婚みたいでいい感じですよね」
「そうだな」
言葉のチョイスを間違えて変な空気になった。
がレインは特に気にした風もなく立ち上がり、ベッドの方へ歩いていく。
「明日も早いしもう寝ておけ。仕事の詳細は明日伝える」
「分かりました。おやすみなさいレイン先輩」
「おやすみ」
私たちは互いのベッドに潜り込んで目を閉じる。
次第に意識が落ちていき、夜が更けて行く。
最後に見えた好感度の値は今朝より大きくなっていて、それがなぜだか少し嬉しかった。
「やっぱりガールフレンドなんじゃん!」
翌朝、教室に入るなりフィンくんが詰め寄ってくる。
私の身を心配してくれたレイン先輩が教室まで送ってきてくれたのだが、朝から一緒に登校なんて恋人の行動でしかない。
「違うんだよフィンくん、これには山より高く海より深いわけがあって」
フィンくんの誤解をとこうと口を開く私の頭に、レイン先輩がぽんと手を乗せる。
「ああ、こいつは俺の彼女だ」
「先輩!? この人フィンくんですよ嘘つく必要ありますか!?」
「何を言ってるんだ。照れているのか?」
「先輩〜〜!?!?!」
どこまで徹底的に嘘をつくつもりなんだこの人は。
「ちなみに、俺はやると決めたら徹底的にやるタイプだ」
「そうらしいですね……」