第2章 *File.2*
「家まで送りますよ」
「結構です」
身体を起こすと、乱れた身なりを整える。
「この後、誰かとお約束でも?」
「ありません」
「では、送ります」
「だから、必要ないって言ってるでしょ」
「好意は素直に受け止めたらどうだ?」
「…嫌です」
「あくまでも拒否をするというのなら…」
「……」
絡み合った視線が無言のまま、先を促す。
「此処でキスの続きをするが、構わないか?」
「なっ、なんでそういう方向に行くワケっ?」
「なんでって、キミを抱きたいからに決まってるだろう?」
「……もう、意味分かんない」
吐き出された言葉と共に急に冷めた表情へと変わり、彼女の心がピリャリと閉ざされた。
先程までは強引にキスをしても嫌われてはいないと思ってはいたが、この発言で、プライベートでの俺を、本来の降谷零としての俺のことをオトコとして軽蔑したのかもしれない。
ふと、そんな気がした。