第4章 ＊File.4＊

｢こうなること、とは？｣
｢そっ、そこの突っ込みは要らないのっ｣
｢こんな関係？｣
｢それも要らない！｣
｢くくくっ｣

どうやら、バーボン絡みになると思考や発言がカノジョに寄りなり、現在のことになると雪乃に寄りなるらしい。ざっくりと言えば、の話だが。

｢もうっ｣
｢…で。あむあずとは、何だ？｣
｢同人誌用語のCPで、安室透×榎本梓の意味｣
｢……同人誌｣
｢同人誌あるあるで、NormalなCPは少ないけど｣
｢……｣
｢同人誌の主流はBLだからね｣

BL=男×男？
突如、背筋が酷くぞくりとしたから、思考を強制終了させた。

｢嫌な予感しかしないから、それ以上は絶対に何も言うなよ｣

間違いない。
死んでも聞かなくていい話だ。
根拠はないが、聞いたが最後、絶対に立ち直れなくなる話の内容だと確信出来る。

｢ちなみに私はNormal派だから、ご心配なく｣
｢分かった分かった｣
｢ひ、ひゃひ｣

思わずムッとして、軽く頬を引っ張った。

｢この話でドヤ顔をされると腹が立つ｣
｢ふふっ｣
｢笑うトコか？｣
｢可愛い｣
｢……｣

可愛いのは、今ご機嫌でニッコリ笑って、俺の濡れた髪を撫でる雪乃の方だ。

｢…ずっと｣
｢……｣
｢待ってるから｣
｢ああ。約束だ｣

不意に見せた真剣な眼差しで、ハッキリと伝わって来た、雪乃の意思。

俺は、俺に出来る最善を尽くすまで。
全ては、雪乃の生命と俺の生命を護るため。
その次に、この日本を守るために。