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*名探偵コナン* 花になって *降谷 零*

第4章 *File.4*


「…だろうな」
「だからこそ、状況が状況なだけに雪乃はあえてそのフリをしただけで、愛想を尽かされ捨てられたのは、君の方ですよ」
「……」

視線をそらし、何も答えないと言うことは、自覚があるからか。
とは言え、自らその答えを導き出したのは、随分と後だろうな。
もしかしたら、ごく最近なのかもしれない。

『もう終わったことだと、これで全てを終わりにしませんか?』

ポケットの中で通話状態にしていた、スマホ。
雪乃は黙ったまま、ずっと俺と元カレの会話を聞いていた。

「!」
『私が貴方を愛したこと、貴方が私を愛したことも事実です。だからと言って、私が貴方を愛することは生涯ありません。ポアロのみんなや安室さんに出逢って、私はようやく前を向いて行けるようになりました。貴方は貴方らしく、これからは前に進んで下さい。どう足掻いても過去には戻れません。また、過去を書き換えることも出来ません』
「何年経っても、そういうところは何一つ変わらないな」
『この歳になって、性格なんて変えられないわよ』
「お前のそういう性格も結構好きだったんだ。おれは言葉が足らなかった、んだな」
『…バカね、お互い様でしょ』
「悪かったな」
『…何に、対して?』
「…今までのこと、全部だ」
『私の方こそ、ごめんなさい。それから、有難う』
「…ああ。これから、おれはどうなる?」
「警察は来ませんよ。君が此処で言い訳をして暴れ回るようでしたら、僕が現行犯逮捕して通報するつもりでしたが」
「…タチ悪いな、お前」
「お褒めに預かり光栄です」
『‪○○(元カレ名前)。さようなら、お元気で』

そこでプツリと音を立てて、一方的に通話が切れた。
今までずっと呼ばなかった、彼の名前を最後に呼んで。
この意味を、この男は理解したのだろうか?
今、きっと泣いている。
感情を無くしたあの声が、何よりの証拠。
出逢いがあれば、必ず訪れるのは別れ。
それがどんな形になるかは、何時になるのかは誰にも分からない、けれど。


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