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*名探偵コナン* 花になって *降谷 零*

第4章 *File.4*


「そこで何をしているんです?」
「!!」

雪乃を安全な場所に移した後、音を立てずに借りた鍵で部屋へ侵入した。
レースのカーテンが閉められた窓際に、一人佇んでいる雪乃の元カレに背後から声を掛ければ、身体を震わせてこちらを振り返る。

「どの面を下げて、雪乃にまた会いに来たんですか?」
「お前が雪乃の男だと?有り得ないだろ?」
「君に褒めらても嬉しくともなんともありませんが、少なくとも、君よりは真っ当な人間だとは思いますよ」
「あんなつまらない女の、何処に惚れた?」
「それを、元カレの君が聞くんですか?」
「ってことは、お前もそう思ってんじゃねーか」
「つまらない女にさせたのは、君でしょう?今の雪乃は、生き生きとしてとても楽しそうに働いていますよ。彼女に会いに来るお客も多いですからね」
「八方美人なだけだ。男にヘラヘラ愛想振り撒いて、媚び売ってんのは相変わらずか」
「雪乃を慕うのは、何も男性だけではありません。年配の女性や子供達もです。ただの嫉妬ですか」
「…雪乃は?」
「此処には来ませんよ」
「そこまでする価値がある女かよ」
「君になくても僕にはあります。いい加減、雪乃に付き纏うのは止めてくれませんか?これ以上、彼女が生きる大切な時間を奪わないで下さい。それに言ったはずですよ?」
「…警察に通報する、か?」
「ええ。ストーカー及び不法侵入として立件も出来ます」
「呼べるものなら、呼べよ」
「呼ばなくとも現行犯逮捕は一般人でも出来ますし、知人に刑事がいるので、もう呼んでいます」
「ハア?」
「あの喫茶店の常連には警視庁の刑事達がたくさんいると、僕は忠告したはずです。何故、雪乃を手放したんです?あの女性に、本当に惚れたんですか?」
「…どうでもよくなった」

あのオンナのことが?

「何も言わなくても何もしなくても、雪乃は自分から離れるワケがないと自惚れていたんでしょう?だが、既に君への愛情などなかったのを知った途端、ここぞとばかりに彼女をとことんまで傷つけた。雪乃は愛情が冷めた男に泣いて乞うほど、バカなオンナじゃない。それでも、本来なら味方になるはずの君があの女性の味方をした。そのことには、相当ショック受けたでしょうね」

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