第4章 *File.4*
「別れないぞ」
「えっ?」
「やはりか」
「…だって」
「俺が雪乃を護る。何があっても、だ」
「……」
「アイツに会って、寄りを戻したくなったか?」
「絶対にヤダ!」
「だったら…」
「……」
「俺を嫌いになったか?」
「!」
「…悪かった」
「!!」
ここまで言わせてしまった。
もう、ダメだ。
私に、貴方を愛する資格は無い。
傍に居る資格も、無い。
多忙な貴方に迷惑をかけるだけ。
「…降ろして。帰る」
「別れないと言ったはずだ」
「でも…」
「でもじゃない。俺は雪乃を愛している。何があっても、この気持ちは揺るがない。信じてはもらえないか?」
「…っ……ふ、ぇっ…」
我慢して、じわりと滲んでいた涙がとうとう溢れた。
私は、貴方に愛されていいの?
どうして、こんな私を愛してくれるの?
何があっても迷惑だと言葉にもせずに、私の全てを優しく受け止めてくれるの?
どうして、私の心の内側まで察して、護ってくれるの?
貴方には疑問ばかりなの。
私は何時だって貴方を愛しているけれど、その分あまえてばかりなのに。
私は、貴方に何を返せてる?
「だから、雪乃は素直に俺を頼ればいいし、俺に護られたらいい。そのことに罪悪感を感じることは何もない。雪乃は、俺を愛しているんだろう?」
「うん」
「ならば、何の問題もない。そもそもが、お前の意思は関係ない。全ては俺の意思だ」
「…ズルい」
「一番大切なのは、俺とお前の気持ちだ。誰が邪魔をしても、雪乃だけは譲るつもりはない」
「ど、して?」
「俺にも解らない。雪乃が好きだと自覚した瞬間から止まらない。この先、例え何があったとしても俺の、お前への想いだけは信じて欲しい」
「……ん…」
信号待ちの車の中で肩を引き寄せられ、そっと触れるだけのキスをされた。