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*名探偵コナン* 花になって *降谷 零*

第4章 *File.4*


『ということがあった』
「…梓さんらしいね」
『誘導尋問には十分気をつけるように』
「うん。でも、元カレからバレない?」

今のところは音沙汰は何もない、けれど。
中々、結構あのオンナも執念深い。

『可能性はなくはないな…悪い、一回切るぞ』
「うん」

キャッチが入ったらしい。
例の組織の件は、一体何時終わるんだろう?
それだけが、途轍も無く恐ろしい。
もうこれ以上、誰も死なないで。
誰も傷つかないで。
毎日、そう願い。そう祈る。
私に出来ることはそれぐらい、だから。

『雪乃、今何処にいるっ?』
「ウチのエレベーターの中だけど」

なっ、何かあった?

『そのまま、もう一度下に降りろ。エレベーターの扉が開いたら、直ぐにボタンを押して閉めるんだ。絶対にエレベーターから降りるなよ!』

直ぐに掛かって来た、折り返しの電話越しから伝わる、緊張感と焦り。

「ど、どうしたの?」
『…お前の部屋に、アイツがいる』
「えっ?!」

だって、鍵はココにあるのに?
その時、チンッと音を立てて、エレベーターが着いた。

『閉めろ、早く!』
「あっ、えっ?」
『大丈夫かっ?』
「う、うん」

突然のことにワタワタしたけど、幸い乗って来る人もいなかった。
で、でも、どうして今更?
思わず身震いして、自分の身体を抱き締めた。

『俺が下で待ってるから安心しろ』
「う、ん」

きっと、見張りの誰かが報告してくれた。
もしかしたら、元カレにGPSを付けたのかもしれない。
どんだけ迷惑かけてんの、私。
コレで、いいの?
このままで、いいの?
勿論、こんなつもりは無かったけど。
私の予測不足だ。

「雪乃!」
「…零」
「直ぐに此処から離れるぞ」
「…うん」

一階に到着したエレベーターが開くなり、安堵して抱き締めてくれた零と視線を合わせることはなく、頷いた。
何か物言いたげにしてたけど、私はそれを訊ねることをしなかったし、零も今は、と、何も言葉にはしなかった。


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