第4章 *File.4*
「梓さんから見て、雪乃さんはどんな方に見えますか?」
「雪乃さん、ですか?」
「はい」
今日は雪乃は休みで、梓さんと二人だ。
「同じ女性から見ても可愛いですよねー。姿形もありますけど、言動が?それに、意外と好き嫌いはハッキリしてますよね。漫画やアニメも好きだし」
「…確かに」
漫画にアニメ、ね。
「嫌いなお客さんが来ると、露骨に態度に出るし。まあ雪乃さんが嫌いなワケも分かりますけどね。上から目線や横柄な態度だったり、セクハラだったり。でもちょっと不思議なのが…私達の親世代のことに詳しかったりすることかしら?」
「例えば?」
「例えば…懐メロ的な歌を歌詞を間違わずに歌えたり、タレントさんやミュージシャン、アニメのこと、後は時系列や物事をを知ってたり。どうして知ってるんですか?って聞いたら、よく分かんないって、本人も首を傾げてましたよ」
「へえ」
親から聞いた記憶があるワケではなく、知らずとも、二人の意識がシンクロしていた、か。
「もしかしなくても…」
「……」
言いたいことが全部顔に出てますよ、梓さん?
意味深にニヤニヤしながら、近寄って来ないで下さい。
「安室さんって、雪乃さんが好きだったりするんですか?」
「さあ?どうでしょうね」
「えっ?そこは否定しないんですかっ?」
「それは雪乃さんに失礼でしょう?」
「あっ!それとも…」
「……」
だから、その表情が全て物語ってますよ。
「実は私にナイショで、既に二人はお付き合いしちゃってたりして?!」
さすがですね、正解です。
「だったら、どうします?」
「えっ?!」
「冗談ですよ」
すみません、今はまだ言えません。
が、もしバレた時は、正直に打ち明けますよ。
多分。
「私的には…」
「……」
「安室さんと雪乃さんって、お似合いだと思いますよ」
そう言いながら、可愛くウインクする。
「有難うございます」
お似合いなのは、見た目が?
それとも性格的に?
「ムフフ。やっぱり好きなんですねー?」
「…梓さん」
「大丈夫ですよ!誰にもナイショにしておきますからっ」
「……」
一体何を想像してるのやら?
キャピキャピした、楽しげなその笑顔が怖い。
これは雪乃に報告しなければならないな。
ふぅ、ヤレヤレ。