第4章 *File.4*
「どうかしたのか?」
「今までは彼女に何を言われても、黙ったまま言い返せなかったのにって、自分でも驚いてるの」
「スッキリした?」
「うん。愛の力は偉大だなって」
姿形が見えなくても、零が直ぐ傍にいると分かっていたからこそ、躊躇うことなく言い返せた。
間違いない。
「愛の力、か」
「はぅ」
これは不味ったかもしれない。
安室透の、やたらニコニコした裏の感情が怖い。
「何故、逃げるんですか?」
「何故、迫って来るの!」
「そんな可愛いことを言われたら、キスをしたくなるでしょう?」
「エンリョシマス」
「残念ですが、拒否権はありませんよ」
「あっ!んっ」
相手はあの、安室透。
逃げられるワケない、けど!
直ぐに身動きがとれないほどガッチリと抱き締められ、そのまま口付けられた。
まだ、店閉めてないのに…。
教訓。
彼の前ではヘタなこと言わないように、以後気をつけます。
カノジョとの二人分を考えても、私の男性経験値が低いだけ、かもしれないけど!
零のペースに付き合ってたら、とてもじゃないけど、私の身と心が持ちません!
初めてではないけれど!
ってか、いい加減、此処でコレはヤバくないですか?