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*名探偵コナン* 花になって *降谷 零*

第4章 *File.4*


「これ以上、雪乃を侮辱して誹謗中傷を続けるのなら、法的に訴えることも出来ますよ」
「!?」

客人が減った頃合を見計らって、バックヤードでしていた事務作業から戻って来るなり、零が穏やかに告げた。
但し、その眼光は鋭い。

「偶然にも、この階上の毛利さんの奥さんは弁護士ですし、この店の常連さんにも刑事さんはいらっしゃいますからね」
「でっ、出来るものならやってみなさいよ!」

そう言い返しながらも、零のイケメン具合がかなり気になるらしく、視線が彼から外れることはない。

「ちなみに僕の本業は私立探偵です。貴女のことを全て調べるのに、時間はそうかかりません」
「何?貴方もこんな女に、本気で惚れ込んでるんじゃないでしょうね?」

裏を返せば、自分の方が断然イイ女だと?

「ええ、雪乃は僕の恋人です。だからこそ、貴女のことは既に全て調べ上げてあるんですよ」
「ウソ、でしょ?」
「どちらも本当です。貴女は、雪乃本人の意思はどうであれ、仕事が出来て男女問わず社内外の人間に好かれる雪乃に嫉妬したからこそ、偽装工作までして責任を押し付け、精神的にとことん追い詰めて、辞職させるように仕向けたんでしょう?」
「……」

そんな気はしてた、けど。
私の過去も素性も、全て筒抜けですか?
いいのやら、悪いのやら。
その前に、一体どのタイミングで調べたのやら?

「!!」
「オマケに恋人まで横取りした。僕の言葉に嘘偽りがないことは、貴女自身が一番理解しているのでは?」
「か、帰るわ!」

図星を指され、咄嗟に言い返す言葉も出ないらしい。

「もう二度と雪乃には近付かないで下さい。忠告はしておきましたから、その時は覚悟して下さいね。二度目はありませんよ」
「!!!」

目を釣りあげ、カバンを掴んで出て行く彼女の背中に、容赦無い最終警告。

「……」

これはマジのヤツだ。
安室透、怖っ!!

「雪乃?」
「…あり、がと」
「あれだけ釘を刺しておいたら大丈夫だとは思うが、決して油断はするなよ」
「うん」

ホッとため息が洩れたと同時に、苦笑する。


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