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*名探偵コナン* 花になって *降谷 零*

第3章 *File.3*(R18)


「前世と現世。雪乃とカノジョの二人分の愛情をもらえるのは、この世界中の何処を探しても俺しかいない」
「…自意識過剰」

否定をしないと言うことは、俺の予想は当たっている?

「このまま俺のものになれ。雪乃の想いもカノジョの想いも、まとめて全部受け取るよ」
「……」
「だから受け取れ。俺からの愛を、想いの全てを。雪乃、お前にしか渡せない」

出逢ってから、数ヶ月。
なのに、雪乃だけは何があっても絶対に手放してはならないと、心が囁く。
ドラマや小説でよく見る『運命の人』とは、こういうことなのか?
理屈じゃない。
俺は生物上のオトコとして、望月雪乃というオンナを求めている?
でなければ、こんなにも雪乃の心も身体も全てが欲しいと、俺の心と身体が脳裏に訴えるワケがない。

「…私の推しは、想像以上にイケメンだったのね」
「推し?」

ため息混じりの、少し困った表情。

「ホントの推しは、ゼロとヒロの二人。高明さんは良き兄としての推しで、そこに恋愛感情はないの」
「俺も、なのか?」
「そう、貴方もよ。降谷零」
「ならば、雪乃がこの世界にいる理由はたった一つ。俺に出逢い、俺に愛されるため。それだけだ」
「今の私も…貴方を愛していい?」
「ああ。この先ずっと、俺だけを愛せばいい」
「…うん」

近い場所で視線を合わせたまま、雪乃は瞳を細めて、ふわりと綺麗に笑った。

「ズルいな」
「ん?」
「その笑顔は反則だ」
「うん?」

実は『地味でつまらない女』を演じていただけ、ではないのか?
元々、派手な格好やアイメイクをするタイプでも好むタイプでもないし、仕事中は動き易いシンプルなパンツスタイルで、長い髪を一つに束ねてはいるが…。

「髪」
「かみ?」
「ヘアゴムを外してもいいか?」
「ど、どうぞ」

髪を引っ張らないようにゆっくりとヘアゴムを外すと、艶のある明るい茶色の髪がサラリと広がって、ふわっと甘いシャンプーの香りが鼻をくすぐった。


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