• テキストサイズ

*名探偵コナン* 花になって *降谷 零*

第3章 *File.3*(R18)


「でないと逃げるだろう?」
「!」

ローテーブルの端、ソファを避けたラグの上で跨り手首を押さえつける。

「これでも最大限に我慢をしているんだが」
「な、何を?」
「雪乃に触れることを」
「な、名前っ!」

先に突っ込むのは、そっちなのか?
触れるのは構わないのか?
これ以上?

「俺のことも好きに呼べばいい」
「そういう問題じゃない!」
「推しはヒロのお兄さん、だろ」
「ひ、否定はしない」

彼らが誰?とは、聞かない。
ヒロが誰なのか、彼のお兄さんが誰なのか、苗字を伏せても当たり前のように知っている。
恐らく本人は気にもとめていない返答が、カノジョの話の後付けとして、証拠として一つ一つ積み重なっていく。
顔を近付けて距離を詰めると、顔を真横に背けた。
やはり直接会ってみたい、のだろうか?
言葉は交わさなくても、諸伏高明、本人に。
ああ。
心の片隅がモヤッとしたと同時に、どろりとした何かが小さく渦巻くの自覚する。

「と言うことは、恐らくヒロも」
「……」
「他は?」
「いない」
「本当に?」
「いないから、もう離して!」
「では、質問を変える。推しは分かった。ならば、俺のことはどう思っている?」
「!!」

本人が、それを聞くっ?
目を見開いて強ばった表情が、心境をありありと物語っている。

「ヒロ同様、少しは恋愛対象としてみてくれているのか?」
「…元年齢を考えてよ」
「だが、オタクの推しへの感情とは、そういうものだろ?」
「どうして貴方がオタクを語るの」
「風見の影響だ」
「…なるほどね」

やはり、風見のことも知っている。

「どうしても応えないと言うなら、言わせてみせるよ」
「!?」
「元々気は長くはない方だ」

今心の奥で小さく渦巻くモノの正体が何なのか、分かりたくもない。

「…はい?」
「苦痛は与えたくないから、代わりに快楽という名の方法で」
「かい、らく?」

頬を引き攣らせてゴクリと喉が動いたのを確認すると、時間切れだと囁き、唇を重ねた。


/ 42ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp