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*名探偵コナン* 花になって *降谷 零*

第3章 *File.3*(R18)


「イイ歳した立派なオバサンがと、大変お恥ずかしいのですが。カノジョは『名探偵コナン』のオタクの域に、片足を踏み入れていましたので。100巻を超えるコミック全巻所有し、映画も観に行き、グッズも揃えるほどに。です」
「……!」

と言うことは、やはりこの世界にいる全ての人間、構成する全ての物は一人の作者によって創られた世界。
俺でさえも、例外ではないのか!

「そういうことです、はい」
「ふっ」

異世界、二次元、転生…。
というか、オタク?
それも成人した子供までいる、アラフィフの母親が?
アニオタ、ドルオタ、元ジャニオタ、鉄オタ…。
このご時世、人や物のオタク化現象は何も珍しくはないし、オタクに男女も年齢も関係ない。
確かに雪乃さんの言うことが事実であれば、全ては一つに繋がるし、辻褄は合う。
しかし、だ!
全てが考えも付かなかった、余りにもの想定外なオチ過ぎないか?

「?」

気不味そうに、でも何処か恥ずかしそうにそらされた視線が戻った途端、俺は堪え切れずに吹き出して大笑いしてしまった。


「そこまで笑わなくてもよくないですか?」
「十分に笑う案件だろ」
「……」

少し不貞腐れたような顔に、ため息を一つ。

「で」
「で?」
「オタクと自覚があるのなら、当然、推しもいるんだろう?」
「!!」

ギョッとして、目を見開いた。
これはいた、ではなく、いるな。
現在進行形で、確実に。
記憶が重なったあの日から、この世界で生きる自分をどう思って過ごして来た?
ある日、突然書き加えられていった、カノジョの記憶、思い出、情景、感情。
雪乃さんとカノジョ。
どちらの性格がベースになっている?
年齢や名前は違えど、住んでいた世界が違う二人は初めから全くの同一人物であって、何の違和感もないのか?
どちらにしろ、よく混乱もせずに全てを受け入れて平然としていられるなと、素直に感心もする。

「い、いません」
「動揺し過ぎだ。そんなウソが通用するとでも?」
「ちょ、と!」
「俺は聞きたい」
「だからって、この体勢は止めて!」

あの日以来、一度も聞くことがなかった崩れた口調になったのが、推しがいると肯定している証拠だろ。


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