第1章 桜舞う、出逢い
『んっ…ぁ…だいじょうぶ…っ。』
スルスル…と行ったり来たり、私のウエストラインをなぞる迫先生の指先がくすぐったいような…なんだか気持ちがいいような…初めての感覚にピクリ、と腰が浮いてしまう。
「…、もしかしてまだ…迫と一緒?」
今度は怪訝そうな弔くんの声に、ドキ…ッ、とすると迫先生の顔を見上げる。
私の視線に気づいた先生は首を横に振る。
まだ迫先生と一緒にいるっていう事を言ったらダメって事なのかな…?
『ううん、一人…。
ちょうど終わって今から学校出るところ…っ。』
「…ふーん。まァ、イイや…。
それよりも早く俺ン家に来いよ?
待ってるから…っ。」
『うん!…すぐに行くね!』
「…おぅ、気を付けて来いよ。」
『はぁーい、じゃあ…また後でね。』
通話を切るボタンをタップした瞬間に迫先生が前屈みになるとペロリ、と私の耳殻を舐める。
『んっぁ…。』
耳に感じる迫先生の柔らかな舌の感覚に甘く震えると生理的に涙がじわ…っと滲み出す。
「…今から死柄木ン家に行くの?」
『はい…その予定です…っ。』
「…ふーん…。
こんなえっちな顔のまま死柄木ン家に行ったら、
死柄木も悪ーいオオカミさんに
なっちまうかもな?」
『ぇぇ、えっちな顔…!?
弔くんも悪いオオカミさん…!?』
「…そう。こーんな大きな瞳を涙で潤ませて、
恥ずかしそうに真っ赤にほっぺた染めちゃって…
こんな可愛くてえっちなちゃん見ちゃうと
死柄木も悪ーいオオカミさんに
変身しちゃうかもよ?」
迫先生の言葉にオドオドしてしまう…っ。
弔くんまで悪いオオカミさんなって、さっきまで迫先生にされてたみたいなちょっとえっちなコトをされちゃうと私の身体、どうなっちゃうの…っ?
そんな事を考えていると、私の首筋に迫先生の柔らかな唇が触れたかと思うとチク…ッ、と小さな痛みが走る。
『…ンッ、せんせぇ…何したの?』
「…んー?
死柄木が悪いオオカミさんに
ならないようにのおまじない♡」
『…おまじない?』
「…そ。ほら早く帰り支度しな?
死柄木が待ってンでしょ。」
先程まで迫先生が乱したセーラー服をまた迫先生の手で手際よく直してくれるとソファーから起こされて、出入り口まで見送られる。