第1章 桜舞う、出逢い
パチン…ッ、パチン…ッ、とリズムよくホッチキスを留める音が社会科準備室の中に響く。
迫先生がプリントを束ねて、それを私がホッチキス留めをする。
「…疲れてないか?
ちょっと休憩挟むか?」
『…いえ!まだまだ大丈夫ですよ!
お気遣いありがとうございます。』
「…そうかァ?疲れたらすぐに言うンだぞ。」
『はい、わかりました!』
それからも黙々と二人でプリントを束ねる作業とホッチキス留めを続けた甲斐があって、終わりが見えてきた。
最後の一つをパチンッ!と留め終わるとふぅ〜…と深くため息を吐いてソファーにもたれ掛かる。
「…お疲れ、。
ホント助かったよ、ありがとね。」
『いえいえ。
迫先生のお役に立てて良かったです…っ。』
茶色の瞳を柔らかく細めながら私の頭を優しく撫でてくれるとふにゃり…とさらに力が抜けて、私も小さく微笑みながら迫先生を見つめる。
『ホッチキス留めしたプリント、
先生のお仕事机の上に置いておきますね?』
ソファーから立ち上がろうとすれば、思いの外身体に力が入っていなくてふらり…、と身体が傾いてこけそうになる。
「……ッ!!」
『…ふぇ…ッ、きゃっ…!!』
倒れそうになったところを迫先生が腕を引っ張ってくれたけど、勢い余ってそのまま迫先生もろともソファーに倒れ込んでしまった。