第1章 桜舞う、出逢い
「…ん、どうした?」
『ひゃいッ!!』
私があまりにも見つめすぎていたのがバレちゃったのか突然、茶色の瞳とぱち、と目が合い、思わず変な声を出してしまった。
「はは、何だよその声。」
『えへへ…、突然先生と目が合っちゃって
ビックリしちゃいました…っ。』
「そりゃァー…あーんな熱烈な視線を送られちゃ、
気付くってモンだろ。」
『何だか迫先生のお顔が色っぽくて…、
このお部屋も迫先生のいい匂いがして
何だかドキドキしちゃいます…っ。』
想った事を言葉にするも、何だか恥ずかしくなってきて頬を染めながら俯くと小さく呟く。
わわ…っ、私、何言っちゃってるんだろ…っ。
自分でも体温が上がり更に顔が紅くなるのがわかると手に持っていた迫先生が入れてくれた甘い甘いコーヒーミルクをごくごく飲み干す。
「…、顔真っ赤だけど大丈夫?」
迫先生が更に近づき、顔を覗き込ませながら心配そうに私を見つめる。
『だだ、大丈夫…です…っ。』
迫先生のお顔が更に近くに感じると、またドキ…ッとして恥ずかしくなると瞳が潤んできて…上目で迫先生をそっと見つめる。
「…っ…、…その顔はダメ。
反則だって…。」
今度は迫先生がほんのり紅くなると口元を手で抑えながら顔を背けてそっぽを向く。
『…ぇ、先生…っ?』
どうして迫先生がそっぽ向いてしまったのかわからなくて、キョトン…、と小首を傾げてもう一度見つめる。
「…ん、何でもない。
ほら…それ飲んだら手伝ってくれンだろ?
ホッチキス留め。」
『ぁ…そうでした。
頑張りましょうね、迫先生!』
迫先生が何でもないと言うように私の頭を大きな手で撫でてくれると、私と同じように首をコテン、と傾げる。
そんな迫先生の言葉に本来の目的を思い出すと胸の前で両手をグッとして気合いを入れる。