第1章 桜舞う、出逢い
ホームルームも終わり、みんな早々に帰る準備をして教室を出ていく。
私も帰り支度をしていると弔くんが後ろの席からガタ…、と立ち上がる。
「…わりィ、。
今日ゲームのフェスでこれからスピナーと
俺ン家に帰るんだ。
ちょっと急いでるから先に行くな?
も後から来いよ。
それから…知らないヤツに声掛けられても
付いていかないコト。
そんで気を付けてくること。わかったな?」
『うん!わかった!
今回のフェスも頑張ってね!
…また後でね、弔くん!』
そう言えば、スクールバックをリュックのように背中に背負い、手にはポータブルゲーム機を持って私の頭を緩くひと撫でしてから教室を出ていく弔くん。
弔くんとバイバイしてからもたもたと帰り支度をしていれば、すっかり教室には私一人だけになってしまっていた。
さぁ、私も帰ろう!と鞄を手に持つとガラ、と教室のドアが勢いよく開いた。
「…あぁ!良かった…。
まだが残ってくれていたか。」
『…迫先生?どうしたのですか?』
教室のドアに片手を着いて、息を切らしたように肩で息をしながらネクタイの結び目を少し緩ませる迫先生が立っていた。
そんな迫先生に近付くと背の高い先生を見上げながら尋ねる。
「いやァ〜、新学期準備が思いの外忙しくって、
明日の授業のプリントのホッチキス留めが
まだ出来てなくってね…。
誰か教室に残ってたら
手伝ってもらおうと思ってね。
がいてくれて助かったよ〜
…ってかアイツら帰ンの早すぎだろ!」
『そういう事なら喜んでお手伝いします!』
「はァ〜…はイイ子だなァ〜。
そんじゃ悪いケド、社会科準備室に
一緒に来てくれるかな?」
『はい、わかりました!』
私がお手伝いすると言えば、迫先生が心底嬉しそうに私の頭を撫でてくれる。
迫先生を近くに感じるとふわ…っと大人の男の人みたいないい匂いがした。
香水…なのかなぁ?とってもいい匂い…。
そんな事を想いながら、迫先生に促されながら社会科準備室へと向かう。