第1章 桜舞う、出逢い
「…ほら、死柄木ともホームルーム始めるぞ。
さっさと教室に入れ。」
迫先生に促されて慌てて教室へと入る。
ひとまず席順は自由席みたいで、新しいクラスメイトは各々自由に席に着いていた。
私と弔くんも窓際の一番端っこの列の前と後ろで席に着席した。
私が前で弔くんが後ろの席。
「…やべっ…さんと同じクラスだ。
俺一生分の運使い果たしたかも!」
「ねぇねぇ…やっぱ死柄木くんって
イケメンだよね。
ちょっととっつきにくいけど、
またそこがミステリアスでいいよね♡」
私たちが教室に入るとまたみんながザワザワと騒ぎだす。
でもみんな何故だか、ヒソヒソこっそり話すから話し声が全然聞こえない。
「ほーら、静かにしろ!ホームルーム始めっぞ。
…えーと、2年A組の担任になった迫だ。
これから一年ヨロシクな。」
「きゃー♡迫先生〜♡カッコいい〜♡♡」
「付き合ってぇ〜♡」
「結婚して〜♡」
教壇に立って、教卓にワイシャツの袖を捲り上げた両腕を付きながら迫先生が挨拶すれば女の子たちの黄色い声が飛び交う。
『わわっ、迫先生大人気だ!』
「…はっ、くだんねェ…っ。」
女の子たちの声に圧倒されると、後ろの席から頬杖を付きながら私の髪に長い指を絡めてクルクル遊びながら弔くんがつまらなさそうに呟く。
「迫先生になら抱かれたい〜♡」
「こーら、女の子がそんなコト
簡単に言うモンじゃありません!」
短い眉を下げて小さく笑いながら迫先生が注意をする。
『…抱く?
ぎゅってする事はダメな事なの?
私、弔くんにぎゅってしたりされたり
いっぱいしてるのに…っ。
いけない事だったのかなぁ?』
「あーー…。
抱くってのはそーいう意味じゃなくて…。
にはまだ早い話だ。忘れろ。」
『…うん?
じゃあ…いつか弔くんが教えてくれる?』
「…っ。あぁ…いつか教えてやる。」
そう言った弔くんは何故か顔をそっぽ向いたまま小さく呟くと、白い髪から覗く耳が少し紅く染まっていた。