第6章 春高予選
「手出してもらっていいですか?」
不思議に思いながらも手を出してくれる彼。その手の上に伊達工カラーの青緑色の必勝祈願のお守りを乗せた。
「これ、この前神社で見て、思わず買っちゃったやつです。色とかうちにピッタリだし!だから、インハイ予選のリベンジも兼ねて貰ってくれませんか?」
二「あのさ、どこでそんな仕草覚えてくんの?俺困るんだけど。」
「え?あ、迷惑でしたか?すみません」
二「逆だよバカ。すげー嬉しいって言ってんの。ありがとな。てかそれ無自覚で他の奴にもやってないだろうな、心配になるわ。」
「喜んで貰えて嬉しいです。他の人にはあげてないので大丈夫です!」
二「そーじゃねーよ、ったく。」
そう言ってため息を着く彼。
(この前から少し、二口さんを困らせているみたいで焦る。行動には気をつけなきゃな。)
お守りは喜んでもらえたみたいだけど、その後の発言の意味は分からず少し落ち込む。
二(凛ちゃん悲しませてどーすんだよ。俺焦りすぎ。てか、ここまで言って察してないあたり、もはや芸術だろ。)
二「なー、この後ちょっとコンビニ付き合ってくんね?」
「あ、はい。全然大丈夫です!」
突然の提案に二人でコンビニに向かう。コンビニに着くと、二口さんからすぐ済むから、外で待ってるように言われたので大人しく待っていた。時期はもう既に10月。宮城の秋の夜はもう寒い。かじかむ手を擦りながら待っていると
二「ん。」
二口さんが肉まんをくれた。
「え?いいんですか!」
二「お守りのお礼に。って言ってもお礼になんないかもだけど」
「お腹空いてたんで、めっちゃ嬉しいです。頂きます。」
二口さんの計らいが嬉しくて、頬が緩む。
二「おーいい食べっぷりだな。」
「なっ!こっち見ないでください。」
二「何だよ。ケチケチすんなよ。」
二(やっと笑顔になった。悲しませたの俺だけど。やっぱ笑ってんのがいいな。あーあ、俺すげー凛ちゃんのこと好きじゃん。)
温かい気遣いと肉まんに心まで温かくなる。部活終わり一緒に帰るって女子が憧れるシチュエーションだよね。
肉まんを食べ終えた私たちは明日に備え家へと帰る。