第14章 それぞれの願い
☆茂庭side
体育館から出ていこうとする凛を見ると、涙を必死に堪えてた。今までも泣いた姿を見た事がなかったし、今回も見せてくれないんだな。そう、思った。強がりなのは昔からだし、優衣が居なくなってからも、優衣の話をする事はあっても弱音も泣き言も吐かなかった。もっと泣いて欲しかったし、甘えて欲しかったけど。
でも、二口が凛を呼び止めて感謝を伝えたあと、しゃがみ込んで泣く凛を見た。ちゃんと涙を見せれる人が居るんだって俺めっちゃ安心したんだよ。どんな涙も俺には見せてくれた事無かったから。拠り所があるって分かって嬉しかった。
二口は凛にありがとうって言ってたけど、俺はお前に言いたい。俺たちのインハイに出たいって夢を叶えてくれてありがとうって。凛の心の拠り所になってくれてありがとうって。後で伝えるか、何回も。二口はウザがるだろうけど、それくらいの事をしてくれたんだよ。キャプテンとしても、彼氏としても。
凛が選んだのが二口で良かったし、二口が選んだのが凛で良かったって心から思った