第14章 それぞれの願い
5セット目が始まった
ここを取れなきゃ、全国には行けない。選手達が1番身に染みて分かってる。先に集中力を切らした方が負けると。
5セット目になっても、攻撃の手を緩めない烏野に徐々に点差を開かれていった。今まで日向くんの勢いを殺してきたブロックが上手く機能していない。何かおかしい。そう思った私は、先程以上に注意深く試合に目をやる。すると、堅治くんの右足がおかしい事に気がついた。3セット目よりも飛べていない。さらに右足を庇うように着地してる。
4セット目の接触は、堅治くんと黄金川くんだった。2人とも平気そうだったので、すぐに試合が続行されたから気付かなかった。あの時堅治くんは足を捻ったんだ。
捻挫、なのかも。
1度試合を抜けてテーピングを巻いた方が良いと判断した私は、急いでコートの近くまで行き、監督に堅治くんの足について報告した。
監督のタイムにより、試合が止まる。
監「二口、お前捻挫してるんだって?」
二「してないっす」
監「右足、かばいながら試合してるんだろ」
二「ピンピンしてますよ」
監「足見せてみろ」
観念した堅治くんがシューズを脱ぎ、監督に足を見せた。足首は青紫色になって、少し腫れていた。
監「急いで診てもらってこい。」
二「嫌です。俺が試合に出なきゃ、どーするんですか!」
監「その状態のまま試合に出て何が出来る?」
二「…ッ」
監「テーピング巻いてこい。ガチガチに固定してな。今のベストで試合に出ろ」
二「…!!はい。」
堅治くんは責任感が強い。キャプテンの重荷も1人で背負い込んできた。だから、捻挫の事も我慢すれば済むと思ってたんだと思う。堅治くんはそーいう時周りが見えなくなる時がある。でもね、1人で戦ってるわけじゃない。みんな合わせての鉄壁だから。
「私着いていきます」
監督にお願いして救護室まで着いていくことにした
二「…悪い」
「ううん。みんなの為の行動だったって分かってるよ。」
堅治くんに肩を貸し、コートを出ようとした
青「俺が終わらせない。戻ってくるまで持ちこたえる」
青根さんが、珍しく声を出した
二「青根、頼む」
青(コクコク)
青根さんに託した堅治くんを連れ、救護室に向かう。
救護室に着くとすぐ、テーピングで右足を固定してもらった。監督が言ったようにガチガチに。