第3章 光を求めて
手が伸びて来た時は殴られるのかと思ったが、想像していた衝撃が来ず、反射的につぶった目をうっすらと開く。
どうやら、お姫様抱っこと言うものをされているらしい。幼い頃1度絵本で読んだことがあったような無いような。
私は初めて海底にさす光を見た気がした。
だって私に触れる手が、抱き上げる手がとても酷く優しかったから。
あぁ、私ってちょろい部類に入るのだろうか?
あれだけ信用しない。警戒を解くなと思っていたのに。
初めて人の温もりに触れてしまい、涙が溢れ出して止まらない。
こんなに泣くのはいつぶりだろうか?