第4章 酸素を求めて
夏油side―
腕の中に少女を抱き上げる。軽すぎて怖いぐらいだ。
発砲スチロールか何かで出来てるのか?
腕の中の彼女に視線を向ければ、両目から涙がぼろぼろと溢れ出ているのでギョッとした。
夏油「すまない。嫌だったかい?」
ふるふると首を横に振るのを見てひとまず安心する。
アパートに着いたのが朝4時頃だったのに今はもう8時頃だろうか?
こちらに悟が近づいて来る。
腕の中にいる少女を六眼で覗き込むようにまじまじと見つめている。
五条「はっ!クソ雑魚じゃねぇか、上が欲しがるからどんな奴かと思ったのに興ざめだ!興ざめ!」
夏油「悟、酷いことを言うんじゃない」
五条「はぁ?事実だろうがよ」
夏油「悟。後で話そうか」
五条「なんだよ傑?さみしんぼか??」
ピキっ―
青筋が浮かぶのが自分でもわかる。
が、少女が不安そうに胸元の服を掴むものだから冷静さを取り戻した。
夏油「喧嘩は後でだ、とりあえずこの子を高専へ連れていかないと」
五条「その格好で?服とか買ってからのがいいんじゃね?」
夏油「まずは治療だろう。いろいろ準備するのは硝子に見せてからだ。」
少女を抱えながら玄関を開いて外に出た。