第3章 光を求めて
夏油side―
手を顎に当てて状況を整理する。
彼女は相当怯えていて、口を聞いてくれそうにない。
状況からしてまず、彼女は術式が使える。これはほぼ確実だ。
服装や痣だらけな事から日常的に虐待を受けていたのだろう、それに耐えきれなくなり、意図的に、もしくは無意識的に術式を発動。
母親らしきものを殺した。その遺体から呪いが産まれた。
ざっとこんな感じだろう。
術式も悪くない。上や呪術界が欲しがるわけだ。
さて、問題はここから、非術師を殺すのはご法度。彼女は呪詛師として処刑対象だろうが、それではあまりにも残酷だ、
虐待を受けていたことも含め、私と悟で報告すれば上も何とか丸め込めるだろうから処刑ルートは回避できるだろう。
規定は守る主義だが、今回はあまりにも彼女に対して世界が酷すぎた。
悟もあぁ見えて実は情が深いところがあるから、乗ってくれるだろう。
では、今優先すべき事は彼女の警戒をとく事だな。