第8章 人魚姫は脚をもらう
夏油side-
今日は夏梨の初任務だが、先程補助監督から電話があった。
(2級の気配は消えたので夏梨さんが祓ったんだと思うんですが、その後帳が上がらず、中から特級相当の呪力を感知しました…!御手数ですが援助に来ていただけないでしょうか?!!)
電話口から切羽詰まった声が響く。
夏油「?!すぐ行きます!」
そう言って電話を切り、教えられた場所まで大急ぎで向かった。
電話の通り禍々しい気配が現場に取り巻いている。
すると森から泥だらけの男の子が飛び出してきた。
翔「お願い!お姉さんを!お姉さんを助けてあげてください!」
夏油「落ち着いて、お姉さんとは君のかい?」
翔「違う、助けてくれたの!お姉さんお化けと戦ってる!早く!助けて!!!」
やはり夏梨の事か。
夏油「わかった。教えてくれてありがとう」
そう言いながら頭を撫でてやると、緊張の糸が切れたのか大声でわんわん泣きながら座り込んでしまった。
夏油「清水さん。この子お願いします」
清水「わかりました!どうか夏梨さんを助けてくださいっ!!!」
補助監督も少し罪悪感を感じているようだ。本来報告にない呪霊が出た時の責任は補助監督にあるから
今はあの子を助けないとという一心で森をかけていく。
血の匂いが濃くなるがおかしい。呪霊の気配がない。
特級を祓ったのか??
夏油「っ!夏梨!」
少し開けた場所に出るとローブの男が血だらけで気を失っている夏梨の頭を乱暴に掴んでいた。