第8章 人魚姫は脚をもらう
夢主side-
あれから状況は悪くなる一方だ。
こちらの攻撃は全然当たらないし、逆にこちらは攻撃をもろに食らっていて立っているのがやっとだ。
しかもこの呪霊、痛めつけるのを楽しんでる。
少なくとも知性があるのだ。
ほんとにギリギリ死なない程度の重傷を何度も何度も負わせて来る。
頭からの出血に加え、肋骨が2本折れた。折れた骨が内臓に突き刺さって口からも血が溢れだしてくる。
ダメだ。出血が多すぎて頭…回らない…。
周りにある水も持ってきた1リットルの水も次の攻撃で底を尽きる。
あ…もう無理…。意識…が……。
ドサッ-
???「あーあ、気絶しちゃったか〜」
ある1本の木の上から黒いローブを被った男は意地の悪い笑みを浮かべてニタニタ笑っている。
もういいよ、と特級呪霊に一声かけると呪霊は消えていった。
???「いやぁ、ほんとにそっくりだねぇ…!」
いつの間にか下に降りてきた男は気絶している少女の前髪を乱暴に掴んでその顔をまじまじと観察する。
???「うーん。今死なれたら面白くないなぁ…治す??」
うーんとしばらく考える素振りを見せる
夏油「っ!夏梨!!」
???「お、王子様が来たみたいだね。じゃぁ大丈夫でしょ!」
夏油「夏梨から手を離せ」
???「おー怖い怖い」
夏油「お前、呪詛師か?」
???「まぁそんなところ?」
夏油「ならば殺す」
???「君と戦うのはまた今度にしておくよ!!!今日は呪霊を特級に変えたらどうなるのか試しに来ただけだしね、それにしても本当にそっくりだねぇその子!」
夏油「何の話だ…」
???「お母さんと同じようにならない事を祈ってるよ笑」
そういうと男はマントをひるがえし闇に消えていった。
帳が徐々に上がっていく
夏油「夏梨!出血が酷いな…。」
補助監督の車では治療が間に合わないと判断したので、夏油は自身の呪霊に夏梨を抱えながらのり、高専へ向かった。