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【ブラクロ】空っぽの先

第2章 魔導書


「おい、アイツ頭に黄色い変なのつけてんぞ」

ヤミ団長が席の方でなんか言ってるのが聞こえる。
すみません、これはずるでしょうか団長。でも日本人なら飛ぶというワードでこのアイテムを連想しない人はいない!

私は頭に創造魔法で作ったクルクル回る黄色いアレを付け、ユノの方へ目掛けて飛んでいく。
箒にまたがってそういうポーズは辛うじてしているものの、魔力を使わず頭上の動力だけで飛んでいてごめんなさい。

「ありえねー……」

やがてユノと同じ高さまで浮かぶと、彼は驚いた顔でこちらを見ていた。変な物体を頭に着けてるんだからそういう顔するよね。
私もユノと同じことをやってみたかったが、箒の上に立つのは無理なので諦めることとする。だって箒浮いてないからね全く。

「あいつすげえな」
「どんな魔力してんだよ」

下の方からも、そして団長席からも歓声が上がる。やった、評価されているみたいだ。箒使ってないけど。

私はすっかり気分を良くしてにこにことユノの方へ飛んでいく。

「ユノくんすごいね。でもほら、私も……どわっ!?」

しかし一時の油断はいつだって命取りだ。
それもそうだ。私の魔法は複雑な構造をしているほど持続時間が短い、つまり。

「わーーーーーッ!!!!!!!」

四次元ポケットから出てくるひみつ道具なんてのは、20秒も持たないわけであった。

私の体は容赦なく垂直に落下していく。それなりの高さだったので加速度もそれなりだ。
まずい、これどの遊園地で乗ったフリーフォールよりはるかに怖い。

しかし私の体……というか乗っていた箒が地面から50センチのところで急停止したので、すんでのところで大事にはいたらなかった。
もうひみつ道具つくるのやめようね。

しかし……。

「なんだったんだあの女」
「急上昇して急降下したよな」

……変な風に目立ってしまったようだ。
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