第11章 月夜の華炎③【セイヤ】R18
『………も、耐えられない……
セイヤ……挿れて……っ』
だがアリスがセイヤに縋るようにして終ぞ両腕を伸ばした、その時──…
────コンコン
虚しく扉を叩く音と共に
昼食の配膳にやって来た 看護師が、颯爽と病室へと入ってくる。
2人はハッとしてすぐに衣服の乱れを整えると、まるで何事もなかったかのように悲しいかな平静を装わざるを得なくなってしまった。
アリスは急いで頭から布団を被ると、高揚した顔を隠すようにして必死に乱れた息を押し殺す
対してセイヤも看護師に表面上紳士的な笑顔を向けはしたものの、内心ではその絶妙なタイミングに辟易し 深くため息を吐いたのだった。
「あら、さんたら……もしかして寝てるの?
────じゃあ彼氏さん、悪いけど起きたらこれ 彼女に食べさせてくれるかしら?」
そう言った看護師がセイヤに昼食の乗ったトレイを差し出してくる
「勿論です」
セイヤが快くそれを受け取ると、看護師は笑顔を返し 直ぐにその場を去っていった──…
────…
ドォォォォォォン──…
パラパラと舞い落ちてくる花火の残り火を、アリスは愛しい恋人に口付けながら視界の片隅で見つめていた。
常は立ち入り禁止のビルの屋上が、花火鑑賞の穴場だと言ったセイヤの提案が発端。
病み上がりのアリスを抱え セイヤはビルの屋上へと昇っていた。
セイヤの身体能力をハンターであるアリスは常日頃から側で見て来たつもりだった。
だがもしかしたら、職場ではその実力の半分も 彼は出していなかったのかもしれない。
ビルの外壁をアリスを抱えなんなく駆け昇って行くセイヤを前に、アリスはそう確信していた。
『ん────は、セイ、ヤ……っ』
大輪の花が2人を見下す中、アリスの嬌声はその大音量にかき消されて行く。
セイヤは漸くその腕の中にアリスを抱き、思う存分愛しい肌に抱え切れない自身の欲を打ち付けながら 心から満足していた。
「────っ、…アリー…ッ
愛してる──…ッ」
『────セイ、ヤ…ッ』