第12章 絡め取る【シン、ホムラ】R18
『やめて…まるで悪魔の囁きだわ』
そう言ったアリスの唇に シンの唇が掠めるように触れる
「俺のことが欲しい。だがあの芸術家の先生の事も手放したくない?」
『…ッ』
その瞬間 アリスは目の前の顔を思い切り引き寄せて 深く口付けたい衝動に駆られていた。だが シンの唇は不適な笑みを浮かべたまま あっさりと彼女から離れてゆく。
「欲しいなら 貪欲に手を伸ばせ」
代わりに耳元に寄せられた唇から熱い息と共に戯言が吹きこまれる。
「芸術家先生よりもっと──…
俺が深く お前を愛してやる───」
背筋に沿って指をつつ と這わされたアリスは堪らずにビクっと体を震わせた。
「お前の感じる場所は 全て覚えている
俺は多少──…粘着質なところがあるからな」
「知っているだろう?」と言いながらシンの熱い息が アリスの火照った耳元から首筋へと移動する。
「イキすぎてもうやめてとお前が叫んでも 離してやれないかもしれない」
『はぁ……ぁ…//』
1ミリも触れられていないのに 狂気じみた卑猥な言葉に呼吸が乱されてゆく
『ダメ……シン』
いつまで理性がこの感覚を抑えていられるだろう。見つめ合えばまた口付けたい衝動に駆られ 近付けば肌の深いところまで触れて欲しくなるなんて──…
シンの言うとおりだ。
欲しいものは欲しいと 手を伸ばせば 楽になれるのかもしれない。
でもそれは ホムラを裏切り傷付ける行為だ。
こんなことを考えるのは 夢に見たあの恍惚なまでの快楽が、脳裏にこびり付いているからかも知れない。
決して受け入れてはならない 悪魔の囁きだ。
「アリス──…」
シンが首元に息を吹きかける。あろうことか それだけでアリスは軽く達してしまいそうになった。
『…はぁ…はぁ…』
「───…あまり長く待たせるな」